日本医学会分科会利益相反会議

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議事要旨

第3回日本医学会分科会利益相反会議

COIマネージメントにおける具体的な問題点と改善に向けた対応策について

加来 浩平(川崎医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科教授)

 産学連携活動を進めるにあたり、医師・研究者と企業との間に生じる利益相反(COI)状態の適切な管理が求められる。日本製薬工業協会が策定した医学研究における産学連携の透明化ガイドラインは、医師あるいは研究機関に支払った奨学寄附金、講演謝金等については、個人名と金額の企業ホームページ上での開示を謳っている。医師側からの詳細開示の承諾書が個人情報開示への担保としているが、医師・研究者からすれば各種セミナーや講演会への協力は企業主催であれ、医療レベル向上への貢献の観点から、一種のミッションである。
 指摘したいことは、「利益相反の透明性」から情報公開の対象や方法が演繹できるとする思考は、危うさを秘めている点である。産学連携の透明化には、何よりも「透明性」という抽象概念の明確化が必須である。即ち、「透明性を求める権利」と「個人情報保護」の線引きを、時間をかけて議論がなされるべきであろう。性急なガイドラインの実施が、健全なる産学連携に水をさすものであってはならない。

スライド資料(PDF/588KB)