日本医学会分科会利益相反会議

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議事要旨

第5回日本医学会分科会利益相反会議:シンポジウム

臨床研究にかかる企業の役務提供をどう考えるか

平井 昭光(レックスウェル法律特許事務所所長)

 医師主導の臨床研究・治験はいくつかの契機からスタートする。例えば、医師からの発案によるもの(新たな薬効について確認して、一変を取りたい、など。)、医師と企業とのディスカッションから生まれるもの、企業から提案があるものなどである。しかし、いずれの場合においても、契約、法規、ガイドライン等によるガバナンスをしっかりと行うことが重要である。具体的には、最初のケースではスポンサー契約のあり方が重要で、書面による贈与の一種である研究支援に関する覚書等で対応することとなり、医師の主体性の尊重を図ることとなる。また、この場合、覚書には一定の労務の提供が規定されることもある。
 このような労務提供の限界は、どのように考えるべきであろうか。SIGN調査報告書では、臨床研究のプロトコールについてBMKK の従業員がそのドラフトに関与したとされており、また、参加施設への労務提供(倫理審査委員会に対する申請書等の作成サポート)を行ったともされている。医師主導の臨床研究(臨床試験)において、企業の果たす役割も重要であり、レギュレーション、通達及び手続面に関する情報の提供、医薬品の供給、金銭的援助、研究とは関係のない事務作業のサポート等が必要となる場合もあろう。他方、企業が関与してはいけない部分としては、プロトコールへの介入、データの処理、管理(入力、保存、解析等)、論文内容への関与(職業的代筆は?)及び各種委員会への実質的関与等がある。このような役務提供の限界を認識しつつ、医師主導の臨床研究・治験を進めることが重要である。

スライド資料(PDF/272KB)