日本医学会分科会利益相反会議

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議事要旨

日本医学会COIマネージメント研修セミナー

医学研究COIマネージメントガイドラインについて
2)日本医学会ガイドライン改定版

曽根 三郎(徳島大学名誉教授/JA高知病院院長)

 疾病に対する有効な診断法、治療法、予防法開発に向けての臨床研究は産学連携のもとに、国民の健康を増進・維持させるために極めて重要な役割を果たしている。医薬品を用いた臨床研究、特に、研究者主導臨床試験は、ヘルシンキ宣言(2000年改訂版)と臨床研究に関する倫理指針(2003年厚生労働省)を遵守して実施することが求められている。日本医学会は、平成22年4月に日本医学会臨床部会利益相反委員会を立ち上げ、研究者により実施された臨床研究成果を中立的な立場で公表する仕組み作りを行うために、2011年2月に「日本医学会 医学研究のCOIマネージメントに関するガイドライン」を公表した。しかしながら、国内5大学で別個に実施された高血圧症治療薬ディオバンの臨床研究事案(一般名:バルサルタン、以下「バルサルタン臨床研究事案」)において、そのいくつかは、販売促進策の一環として企業からの不透明な研究費と不当な役務提供を受け、不適切な利益相反(Conflict of Interests; COI)マネージメントのままに大規模臨床試験が実施された。加えて、人為的なデータ操作によって誤った結論が導かれたという事実が明るみに出て、国際誌に公表された複数の論文を撤回する事態を招くに至った。
 バルサルタン臨床研究事案にて明らかになった問題点を踏まえて、COIマネージメントの指針から改善策、防止策を早急に講じる必要があると考えて改定版の作業を開始した。平成25年5月24日開催の第8回日本医学会利益相反委員会にてガイドライン改定案の提示。平成25年11月15日開催の第4回日本医学会分科会利益相反会議にて、改定案の議論を重ねた後、11月20日に同ガイドライン改定案を118分科会へ送付した。平成25年12月25日までに回答を受けて、各委員から出された意見を反映して「日本医学会 医学研究のCOIマネージメントに関するガイドライン」改定最終案は、その後、日本医学会協議会、第10回日本医学会幹事会に提出。平成26年2月19日開催の第81回定例評議員会にて承認された。
 主な改定は、下記のごとく下線の項目について加筆修正を行った。
IV.医学研究に係るCOIマネージメントの基本
1.医学研究を実施する各施設・機関
3.臨床研究、特に医師主導臨床試験に係る注意事項
4.臨床研究に係る回避事項とそのマネージメント
V.COI指針および細則の策定
6.対象者のCOIマネージメント
  (3)学術雑誌発表者
7.申告の対象期間
11.COI委員会の役割と責務
 1)COI委員会の所掌事項
12.編集委員会の役割と責務
16.COI開示請求への対応
17.指針違反者への措置

スライド資料(PDF/2.02MB)