日本医学雑誌編集者会議 Japanese Association of Medical Journal Editors

トップページへ戻る

議事要旨

第2回日本医学雑誌編集者会議(JAMJE)総会・第2回シンポジウム:総会

臨床試験の事前登録の義務化:経緯・現状について
質疑応答

北村委員長:試験をすること自体が義務化されたということなのか。

木内委員:侵襲のある介入、通常、薬とか手術とかを研究する場合には、事前登録が義務化されている。

北村委員長:院内の倫理委員会を通しただけではだめということなのか。

木内委員:運用によって違うが、事前登録したものでないと、倫理委員会は審査しないという運用もあるし、登録することを条件に倫理委員会が許可を出すという運用もある。各施設でどうしているのかは具体的には知らない。

日本体力医学会:日本体力医学会は昭和24年に東京慈恵会医科大学の教員と体育関係の教員によって作られた学会であり、小学校、中学校、高等学校、あるいは大学の体育教員と医科大学の教員から成る。学会で発表される内容は、たとえば子供の体力テストの結果が発表されるわけであるが、この場合は倫理規定で侵襲を伴う介入になるのか。

木内委員:そこはいわゆる判例が出ていて、過去の経験で判定されて問題になったり、議論になったりしてコンセンサスができている状態ではない。
 たとえば運動といっても、程度の問題が非常にあって、通常の社会通念上、これは生命が危ないというぐらいの激しい運動をさせたら、当然介入のほうに入ってくるような気がするが、通常のジョギングぐらいであれば入らないような感じもする。現段階では、これから前向きにいろいろ経験していくなかで、だんだん決めていかざるをえない。

日本体力医学会:体育の時間に生命の境になるような介入をすることは、常識的には考えられない。ヒトを使って実験的に行うことは、体育の授業とかではまずない。そして、一般の教育学部の保健体育科には倫理委員会はない。体力医学会のなかに倫理委員会を一応設けてある。そういう施設がないところは、一般の教育学部等の人たちが出してきたときに、どういう観点で倫理審査をするかは、試行錯誤的に今、行っている。平成21年の4月から適用されて、これが軌道に乗っていったときに、どういう観点で、日本体力医学会として独自の倫理規定を作るのか、それともその施設に任せるのか。そうなると、その施設では人文系とかにはない、そういった人たちは学会誌に投稿できないことになる。すると会員がどんどん減ってしまうし、子供たちの体力の推移とかが公表できないことになると思うが、いかがか。

木内委員:審査の仕組みは各施設で作ってもよいし、学会として何か設けてもよいと思う。臨床研究の倫理指針を読む限りでは、やはり病院で行われるような医療行為を想定して書いている。ただし、「侵襲のある介入」というような記述があって、おそらく医療を前提に書いてはいるけれども、私が責任をもってこれは良い、これはだめという状態にない。

北村委員長:最近UMINの登録は増えているとのことだが、どれぐらいか。

木内委員:正確にではないが、毎月100弱ぐらい増えている。

北村委員長:臨床研究で侵襲的な介入は登録が必要だが、観察研究は必要ないのか。

木内委員:観察研究では登録は必要ない。

北村委員長:大きな雑誌に載せたりする上で、登録しておいたほうがよいのではないか。

木内委員:日本の臨床試験の倫理規定に違反しないようにするには、侵襲のある介入だけ登録すればよい。しかし、観察研究を登録することもできるようにシステム上はなっている。
 そのときに問題になるのは、雑誌がどう判断するかで、観察研究であっても、ある雑誌は登録を義務づけるという基準があれば、その雑誌に採択してもらうためには登録しないといけない。
 臨床試験の倫理規定に違反しないようにするのは、日本においては最低限のことになる。観察研究については、研究者の自覚なり、雑誌の基準で登録するかどうかを決めていくことになる。