日本医学雑誌編集者会議 Japanese Association of Medical Journal Editors

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議事要旨

第8回日本医学雑誌編集者会議(JAMJE)総会・第8回シンポジウム:シンポジウム

総合討論Q&A

総合討論の質問、応答は下記のとおり

北村委員長:時間も少ないのですが、もしもご質問があればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。

日本疫学会:日本疫学会の松尾と申します。オープンアクセスという形態で論文を出している場合、学会が発行している雑誌であるけれども、著作権が著者に属しているような場合があります。そういった場合でもこの仕組みは使えるものなのでしょうか。

竹内勝之一般社団法人学術著作権協会常務理事:そこまで想定したことを考えておりませんでした。個別のことでもありますので、もう少し詳しくお伺いしたうえで、担当者に確認してからお返事させていただいてもよろしいでしょうか。

北村委員長:電子媒体の著作権はなかなか徴収が難しいので、難しいと思います。個別の学会ではなく、全体でぜひ先生方に知ってほしいのですが、著作権料は今、日本から外国へ10億円行って、外国から日本へ1億円来ているという状態です。どちら向きに行っても学著協はもうかるので、それはよいのですが、学問の中心がどちらにあるかということを考えると、できればフィフティフィフティになるぐらい、日本の論文が世界に読まれるほうがよいという気はいたします。10対1が現在の比率ということを、ぜひ記憶にとどめておいていただきたいと思います。

竹内勝之一般社団法人学術著作権協会常務理事:ありがとうございました。

湯浅委員:余頃先生、ORCIDは、これからたぶん皆さんはやらなくてはいけないのかなと思うのですけれども、では簡単に、過去の論文にもこれは有効というか。遡って何か引用、探すことが可能になるのでしょうか。

余頃祐介科学技術振興機構(JST)知識基盤情報部研究成果情報グループ主査:ORCIDは人に対するIDですから、論文を公開しているプラットホームの機能によると思うのですけれども、おそらくORCID-ID……。でも、どうですかね。論文を投稿したときに、その論文の著者のIDとして登録されるから、正確にはORCIDの人ではないと答えられないと思うのですけれども、今の流れからすると、投稿したときに自分の名前とこの著者のIDであるORCID-IDはこれですよというようにして登録したものが基本的には検索対象となるかなというような感じだと思います。

湯浅委員:どうぞ。

日本疫学会:日本疫学会の松尾です。先ほどの湯浅先生の質問ですが、ORCIDにログインすると自分のIDに対して論文を登録できるので、1回リンクをかけてしまえばORCIDで引っかかってくるようにできると思います。あと、質問ですが、リサーチマップとかが国内ではあるかと思うのですけれども、リサーチマップとORCIDの立ち位置の違いというのはどうでしょうか?また、これから先、連携していくような流れになっていくかどうかというところに関してコメントがあればお願いします。

余頃祐介科学技術振興機構(JST)知識基盤情報部研究成果情報グループ主査:ご質問ありがとうございます。そうなのです。私たち科学技術振興機構と国立情報学研究所(NII)では、今おっしゃられたとおり、これも同じく研究者のサービスなのですけれども、そこでリサーチマップのIDを出していると。実は国内にはそのほかにもいろいろな研究者IDの体系があると。たしかに研究者からするといろいろなIDがあって連携してもらえると良いのにということはあるかと思います。まだ私たち科学技術振興機構として具体的にORCIDと連携するようなことはないのですけれども、ゆくゆくはそういったIDをリンク付けできるような仕組みは必要になっていくものだと私は思っています。

湯浅委員:余頃先生、どうもありがとうございました。

北村委員長:話題を2つ提供させてください。1つ目は、先生方もご存じと思いますが、最新のNature Indexという雑誌、NatureのなかのNature Indexで日本の特集がなされています。論文が非常に減っていると。今まで世界3位だったものが8位に落ちている。それは研究費がずっと落ちてきているためであるというので、こういうグラフまで載せて指摘されています。ぜひ読んでいただいて、この日本医学雑誌編集者会議からか、日本医学会からかは分かりませんが、研究費を日本の科学振興にもう少し政治は努力してほしいというような声明を出したいと思ったのですが、今、急に言ってもなかなか難しいとは思います。1つの話題提供として、現在日本からの論文が減っているという事実を皆さんと共有したいと思います。
 2つ目の話題提供は診療ガイドラインです。わが国では、EBM(evidence based medicine)を発展させていくその先に、多くの学会が診療ガイドラインを作り、そして現在はその実際の診療で使われています。さらに医療事故の裁判なんかでも、ガイドラインにはこの治療が推奨されているにもかかわらず、該当の医師はそれをやらなかったというようなことで争われるような事例もあります。ガイドラインの重要性が高まるなかで、先ほど曽根先生のお話にもありましたように、ガイドラインを作る人のCOI関係も取り出されています。その製薬メーカーから研究支援なんかを受けている人がガイドラインを作っていいものなのか、あるいはもっと言うと逆の違うライバルメーカーから支援を受けている人がガイドラインを作っていいのだろうかというような、ガイドラインを作る人のCOI関係なんかが1つあると思います。
 もう1つ、最近本屋さんの業界団体、医学書団体から、学会がガイドラインを作るのは良いのですが、それの2次利用に関して普通のリーズナブルな著作権料を請求する学会から数百万円の著作権料を請求する団体まであって、何とかしてほしいという要望が寄せられています。ガイドラインは、先ほども言ったように、非常に公的な意味もあります。そのなかですべての人がフリーというか。安い値段でガイドラインにアクセスできるべきとは思いますが、かといって各学会においては何度も委員会を開き、非常に経済的にも負担してガイドラインを作っている状況があります。そんななかで、ガイドラインの流通性と料金というか。著作権料をどうしたらいいのだろうということを話題にしたいと思っています。日本医学雑誌編集者会議としては、できるだけ提供してほしいと。別に著作権は放棄するわけではないのですが、著作権を持ったまま自由に使っていただく、あるいはきわめて安価に使っていただくというような仕掛けができたらいいなと思っています。もちろん学会が投資している面も存じ上げていますが、そこの折り合いが非常に難しいかなと思っています。
 今日は頭出しだけなのですが、日本医学会利益相反委員会の曽根先生やその他の先生と相談して、新しい診療ガイドライン検討委員会みたいなものを作り、学会のガイドライン作成委員長にメンバーに入っていただいて、この日本医学雑誌編集者会議と同等の会議を作り、そして、先生方もご存じかと思うのですが、日本医療機能評価機構のなかにMindsというガイドラインを収集している場所がありますが、そこと密接な協力の下によりよいガイドラインをきわめてスムーズに医療者に流通する仕掛けを作っていきたいと思うのですが、いかがでしょうかというのが2つ目の話題提供です。何かご意見とかはありますでしょうか。
 ちなみに、先生方の学会でガイドライン、診療ガイドラインというものを出版している先生、ちょっと手を挙げていただけますか。どのくらいいますか。ありがとうございます。ここに集まっている方の約6割が挙手されたと思います。おそらく全分科会のうちでいえば60、70団体が診療ガイドラインを出していると思うので、今、先生方に投げかけた課題は共通しているのではないかと思います。また来年度に向けて検討課題にさせていただきたいと思います。
 その他、この話題提供以外の日本医学雑誌編集者会議で取り上げるべき課題とか困っていること、あるいはこういう方向で考えるべきというのがありましたら、どんな話題でも結構です。ご意見をいただけますでしょうか。来年度の活動に向けて検討したいと思います。よろしいでしょうか。また、先ほど北川さんからご紹介があったアンケート調査を、来年度に必ず実施いたしますので、そこにまたこの会の活動、課題等を書いていただければありがたいと思います。それでは最後のまとめを、湯浅先生、お願いします。

湯浅委員:お疲れのところ、申し訳ありません。私は最後に先生方にお仕事を1つお願いしたいのですけれども、資料の10-2は今日ご講演いただいた学術著作権協会のパンフレットですけれども、こちらのほうの15ページから、学術著作権協会と受託契約をしている学会の名簿が出ています。あいうえお順だと思います。ぜひ先生方の学会がこの表に載っているかどうかということのご確認をお願いしたいと思います。今日、学術著作権協会のほうから4名の方々が会場にいらっしゃっていますので、もし自分の学会が載っていないので、ぜひ入りたい、契約したいということであれば、直接、お話を聞いていただければよろしいかと思います。先生方の学会のお名前は載っていますでしょうか。
 本日は本当に年度末のお忙しいところ、第8回のシンポジウムにお集まりいただき、大変ありがとうございました。それではこれで閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。