日本医学雑誌編集者会議 Japanese Association of Medical Journal Editors

トップページへ戻る

議事要旨

日本医学会臨床部会利益相反委員会ならびに日本医学雑誌編集者会議(JAMJE)合同シンポジウム:シンポジウム

欧米の医学系学会におけるCOI管理の動向

土岐祐一郎(大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学教授)

 医学研究における利益相反(COI)は研究実施と情報発信の2つの段階で制御すべきであるとヘルシンキ宣言に明記されている.学会や出版社は学会・論文発表やガイドライン作成など情報発信を担当しており,COIの管理責任は極めて重大である.
 COI管理の先進国である米国では,1996年に医学会として米国臨床腫瘍学会(ASCO)が初めてCOIポリシーを発表し2005年に第3回の改訂を行っている.そこでは100ドルという低い申告ラインを設定し,できる限り多くのCOIを開示する方向で進んでいる.また,基礎研究については必ずしもヘルシンキ宣言の対象になるものではないが,最終目標が臨床応用であるという点から広く解釈されている.最大の基礎医学会である米国癌学会(AACR)では臨床研究,基礎研究の区別が無く,同等にCOI管理の対象にしている.
 一方,学会発表のCOI申告については遵守されていないという報告もあるが,米国では企業からの利益供与の開示を義務付けるサンシャイン法が2010年に成立し,今後企業の側からのCOI開示が進むと考えられる.

新しいウィンドウが開きますスライド資料(1.15MB)