お知らせ

平成26年7月23日

日本人間ドック学会および健康保険組合連合会が公表した
「新たな健診の基本検査の基準範囲」
に対する日本医師会・日本医学会の見解について(補足)

 日本人間ドック学会(人間ドック学会)および健康保険組合連合会(健保連)が、本年4月に公表した「新たな健診の基本検査の基準範囲」に関する報道が国民の誤解を生み、医療現場に混乱が生じた。このため、日本医師会と日本医学会は、5月21日に見解を公表した。しかし、その後も、本件に関して、広く国民に正しい理解が得られたとは考えられないとして、髙久史麿日本医学会長、松原謙二日医副会長は、7月21日の日本医師会定例記者会見で、改めて見解を示した。

 まず、髙久会長は、通常、検査の「基準値」と言われているものには「基準範囲」と「臨床判断値」があるが、両者は意味するところが全く違っており、明確に区別すべきものであると説明した上で、先般、人間ドック学会・健保連が公表したのは「基準範囲」で、これは、多くの健常人から得られた検査値を集めて、その分布の中央95%を含む数値範囲を統計学的に算出したものであり、疾病の診断、将来の疾病発症の予測、治療の目標などの目的に使用することは難しいとの考えを示した。

 また、一方、各種専門学会等により提唱されている診断基準の中で用いられている検査の基準値は、「臨床判断値」であり、例えば、日本動脈硬化学会の脂質異常症の診断基準に記載されているものなどがその代表で、これは、疫学的調査研究に基づいて将来の虚血性心疾患の発症が予測され、予防医学的な対応が要求される検査の閾値、つまり、予防医学的閾値という代表的な臨床判断値であるとした。

 髙久会長は、「基準範囲と臨床判断値は全く異なる概念から生まれた数値であり、基準範囲(の上限値・下限値)と臨床判断値は異なるのが当然」とした上で、「疾病の診断、将来の疾病発症の予測、治療の目標に用いられるべきは臨床判断値である」と強調した。更に、「各メディアに対しては、このことを十分に理解したうえで適切な報道をお願いするとともに、人間ドック学会・健保連に対しても、この理解を世間に周知いただく努力をお願いしたい」と述べた。

 松原日本医師会副会長は、自身の日常診療の場で、多くの患者さんから質問を受け、今回の報道で、国民が大きな影響を受けていることを実感しているとして、改めて報道機関に対し、「今回の人間ドック学会の発表は健康な人達についての統計学的な話であり、その人々が、5年、10年、20年先に病気にならないという意味ではない。不安を抱いている国民の正しい理解のためにも、きちんと報道して欲しい」と語った。

(日医白クマ通信No1799より)

日本人間ドック学会および健康保険組合連合会が公表した「新たな健診の基本検査の基準範囲」に対する日本医師会・日本医学会の見解について(補足)(PDF/98KB)

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