研究倫理教育研修会

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議事要旨

第2回研究倫理教育研修会

診療ガイドラインの質と信頼性確保に向けた取り組み

山口 直人(東京女子医科大学衛生学公衆衛生学第二講座教授・講座主任)

 日本医療機能評価機構が実施するEBM普及推進事業(Minds)では、わが国の診療ガイドラインを対象にAGREEIIによる評価と選定を行っているが、2011~2015年度までの5年間に評価対象となった410ガイドラインの中で選定されたのは190であり、作成方法から見た診療ガイドラインの質には幅がある。主な問題点としては、編集の独立性、特に、作成資金に関する記述が不明確、COI管理は申告はなされていても具体的対応が不明確、適切なシステマティックレビューが実施されていない、益と害のバランスの評価結果が明示されていないことなどが挙げられる。
 診療ガイドラインの質と信頼性を高めるためには、作成組織、作成プロセスについての配慮が不可欠であり、エビデンスは科学的に確実な場合でも、作成者の判断に「偏り(bias)」が生じることは不可避であって、それを最小限に抑える努力をすべきである。偏りを最小限に抑えるために何を実行したかによって、診療ガイドライン利用者の信頼感は大きく左右されることの認識が重要である。Mindsでは、COI管理の方法も含めて、診療ガイドラインの作成方法を提案するなど、学会等への作成支援を強化しており、今後、わが国の診療ガイドラインの信頼性の向上が期待される。

スライド資料(PDF/840KB)