研究倫理教育研修会

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議事要旨

第2回研究倫理教育研修会

今日のゲノム医学・医療の倫理的課題

福嶋 義光(信州大学医学部遺伝医学・予防医学講座教授)

 網羅的遺伝子解析技術の急速な進展により、遺伝学・ゲノム学が、医学・医療を抜本的に変革する時代を迎えている。生涯変化せず、将来の発症をかなりの確率で予測することができ、本人だけではなく血縁者の健康にも関係する可能性のある生殖細胞系列の遺伝子変異を明らかにする遺伝学的検査を臨床の場で実際に用いるためには、解決すべきいくつもの倫理的課題が存在する。
 「ゲノム医療」とは、ゲノム情報(遺伝情報)に基づき、個々人にとって最善の医療を提供しようとする医療であり、これを実現させるためには、何が最善なのかを研究の進展とともに、その時点、その時点で判断していかなければならない。判断に際しては、技術的に可能なこと、経費、新技術を導入した場合の利点とリスク・欠点、特に社会の受け入れ状況の検討などを行う必要がある。このような検討を行うためには、従来の臓器別・領域別の学会の取組だけでは不十分である。本講演では、ゲノム医療の時代を迎えて、領域横断的な活動を行っている日本医学会「遺伝子・健康・社会」検討委員会、および全国遺伝子医療部門連絡会議の活動を中心に報告する。

スライド資料(PDF/2.68MB)