研究倫理教育研修会

戻る

議事要旨

第7回研究倫理教育研修会

進展するプレプリントの可能性と注意点

林 和弘(文部科学省科学技術・学術政策研究所データ解析政策研究室長)

 プレプリントは査読付き原著論文の草稿であるが、研究成果公開メディアとして一定の独立した地位を医学系でも確立しつつある。特にホットトピックの研究者間の共有に関しては、事実上不可欠であり、原著論文とは違うメディアとしての役割の可能性が出てきた。
 プレプリントの利活用の是非は利用者の立場によって変わり、研究者の情報収集と発信においては自身の専門性のもと積極的かつ戦略的にプレプリントを活用し、非専門の読者としてはリスクを踏まえて慎重に取り扱うべきものである。
 プレプリントの進展は、学術雑誌と原著論文を中心とした研究者のエコシステムのあり方に一石を投じている。短期的には査読、雑誌のあり方を変え、長期的には研究、知識形成のあり方を変えうる。プレプリントがもたらす研究および研究環境の変化に応じた倫理の醸成、啓発と教育がこれから求められ、研究者コミュニティ(学会)としての見識が問われることとなる。

スライド資料(PDF/1.99MB)