研究倫理教育研修会

戻る

議事要旨

第7回研究倫理教育研修会

企業主催講演会にかかる広告規制の現状と対応

藤原康弘(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長)

 平成30年9月25日、厚生労働省から「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」が発出され、平成31年4月から適用となり、同時に販売情報提供活動監視事業が開始された。これにより、現場での企業の販売促進活動の状況についての監視の仕組みが整備された。企業が主催する講演会には、企業の販売情報提供活動の側面もあるため、その中での医師等の学術講演の発言内容も、不適切な情報提供がないか、行政の広告監視の対象となっている。企業は、ガイドラインに違反することがないよう、講演資料の事前チェックを行っているが、講演者には学術的な内容に対する介入と捉えられ、トラブルとなる事例もある。日本医学会が実施した「企業主催講演会における学術講演内容介入状況のアンケート調査報告書2023」によれば、企業による事前チェックの趣旨が講演者に適切に伝わっていないために、企業への不信感が増大している状況があることも示唆された。企業が主催する講演会では、企業には講演を依頼する際に丁寧な説明が求められることはもとより、講演者も留意した上で講演を引き受ける必要があるだろう。一方で、企業主催ではない講演会等学術活動そのものの中での医師等の発言は、薬機法の広告規制の対象外であることも改めて認識していただきたいと考えている。

スライド資料(PDF/1.81MB)