宮坂 信之(日本学術会議臨床医学委員会臨床研究分科会幹事)
COIは、基礎医学よりも臨床医学のほうがはるかに大きな問題になっている。これまでもタミフルやイレッサなどの薬剤の市販後の副作用でCOIが云々されて来ており、これを適正にマネジメントすることが社会から求められている。一方、文科省イノベーションシステム整備事業のプログラムにおいて東京医科歯科大学産学連携本部飯田香緒里氏らがまとめたデータによれば、日本の大学を中心とする学術機関において研究費の50%は民間企業に依存している。そして奨学寄付金が民間資金の62%を占める。
しかし、これらの学術機関のCOIマネジメントの状況は必ずしも十分とは言えず、臨床研究COI指針を12%の機関が策定をしていない。COIマネジメントも形式的で、十分に行われているとは言えない。これは研究費の大半が公的資金である米国とは大きな違いである。わが国の学術機関、研究機関にとって、奨学寄附金制度の適正な受け入れ体制の強化・透明化とCOIマネジメントの徹底は喫緊の課題である。
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