日本医学会分科会利益相反会議

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議事要旨

第4回日本医学会分科会利益相反会議

産学連携の透明化とアカデミアへの期待

永山 悦子(毎日新聞科学環境部副部長兼医療情報室次長)

 毎日新聞の記事データーベースを調べると、「利益相反」というキーワードを含む記事が最近増えている。今年はすでに19件と飛び抜けて多い。これは、バルサルタン(商品名ディオバン)の問題があるためだ。
 取材側、一般市民は、公表されていない情報には「後ろ暗いところがあるのではないか」と探りたくなる。民間から多くの研究資金が支出されている現状が知られていないという背景もある。学会や研究機関によるCOI開示ルールの整備は、COI問題への理解の一助になる。
 バルサルタン問題は、特殊な事例と言われるが、COI情報開示の問題、臨床研究の公正性確保という観点からは普遍性がある。
 COIルールの整備が進んだ今、次の一歩を考える必要がある。COIガイドラインという「箱」に「魂」を入れることだ。倫理委員会の権限強化、ピアレビューの精度向上など現状の改善に加え、法制化や奨学寄付金の位置づけなど、より大胆な改善が求められるかもしれない。
 また、詳細なルールが逆に研究者の負担になり、申告という「入り口」で満足してしまっては問題だ。研究の透明性、公正性という「出口」管理も必要になるだろう。メディアとしては、今後も研究バイアスについてアンテナを張り、報じていくとともに、医学研究や産学連携への理解を深める記事を書いていきたい。

スライド資料(PDF/4.88MB)