

小島多香子(東京医科大学国際教育研究センター長/教授)
医学研究および学術出版における利益相反(COI)は、適切な管理のもとで取り扱われるべき重要な概念である。しかし日本においては、その理解や知識が必ずしも体系的に共有されておらず、個人の情報収集力や各組織の教育体制に依存しているのが現状である。特に医学生の段階で製薬企業など産業界との接触が始まる場合もあることから、体系的かつ早期のCOI教育の導入が必要であると考える。
本講演では、ICMJEおよびCOPEなどの国際的ガイドラインを踏まえ、学部から大学院へと発展する一貫型のCOI教育の在り方について提案する。学部では国際基準に基づく基礎知識の習得と情報の信頼性に関する理解を養い、大学院では研究者としてCOIを自律的に判断し、その根拠を説明できる能力の涵養を目指す。Awareness(知識)、Application(技能)、Attitude(態度)の三要素からなるコア・コンピテンシーを基盤とし、講義、演習、Problem-based Learning(PBL)などの教育方法を組み合わせることで、COIを理解し適切に判断・開示できる能力の育成を図る。こうした教育は、倫理的・論理的思考力や議論を通じた合意形成能力の向上にも寄与し、COIに関する共通理解の形成と日本におけるCOI管理体制の強化につながることが期待される。
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