日本医学会分科会利益相反会議

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議事要旨

日本医学会COIマネージメント研修セミナー

医学研究と倫理

河上  裕(慶應義塾大学大学院教授)

 医学研究の倫理は、「ヒポクラテスの誓い」(医師の倫理)に始まり、第二次世界大戦での人体実験問題を契機として、世界医師会による「ジュネーブ宣言」(医師の倫理)や「ヘルシンキ宣言」(医学研究の倫理)、米国「ベルモントリポート」(医学研究の倫理)(人格尊重、善行・無危害、正義の3原則)等が作成され、その後、臨床研究の指針や医薬品開発研究に係る法律として、「US-common rule」(米国)、「GCP」、「臨床研究に関する倫理指針」(日本)等が整備されてきた。その基本は、被験者の保護(ICによる自己決定、個人情報の管理、補償等)、科学性の担保(倫理審査委員会による審査等)、研究の質と信頼性の担保(モニタリングや監査、データの保存等)であるが、出版の倫理(出版・報告バイアスの防止等)や利益相反(COI)の管理(開示と管理等)も重要な課題となっている。
 特に深刻なCOI存在下で臨床試験実施者に係る重大な違反事例の発生もいくつか社会問題となっており、米国では各種指針の設定やCOI状態の公開や法制化「医療保険改革法サンシャイン条項」、日本では国の指針や「日本医学会 医学研究のCOIマネージメントに関するガイドライン」の作成や企業による公開「製薬協透明性ガイドライン」等の状況に至った。産学連携を必要とする医学研究においてCOIは益々その重要性を増している。

*GCP : Good clinical practice, IC: インフォームドコンセント

スライド資料(PDF/887KB)