日本医学雑誌編集者会議 Japanese Association of Medical Journal Editors

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議事要旨

第2回日本医学雑誌編集者会議(JAMJE)総会・第2回シンポジウム:シンポジウム

パブリッシュ・オア・ペリッシュ

山崎茂明(愛知淑徳大学文学部図書館情報学科教授)

 なぜ発表倫理に注目するのか。発表なくして、科学研究活動は完結しないからだ。研究者は、研究の着想から、データ収集と分析を経て、最終的に成果を論文にまとめる。論文には再現性を保証する情報が記載され、結果の信頼性が担保される。論文発表を通して、研究成果は専門領域の進歩に寄与し、社会へ応用されていく。それだけに、研究発表の倫理(publication ethics)に焦点をあてることで、研究プロセス全体の公正さをチェックできる。研究倫理といえば、ヒトや動物を対象にした倫理を思い浮かべるが、発表にフォーカスをあて、研究者の研究行動の倫理性や公正さを検討するものである。中心となるテーマは、オーサーシップとピア・レビューである。「バブリッシュ・オア・ペリッシュ(発表するか死か)」という厳しい研究環境のなかで、オーサーシップの国際的な定義は普及しておらず、オープン・ピア・レビューなど論文審査をめぐる新しい議論が十分に展開されていない。医学雑誌編集者は、発表倫理の視点から、研究情報のフィルターとして機能する必要がある。

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