日本医学雑誌編集者会議 Japanese Association of Medical Journal Editors

トップページへ戻る

議事要旨

第5回日本医学雑誌編集者会議(JAMJE)総会・第5回シンポジウム:シンポジウム

II.医学雑誌の全文公開
1.オープンアクセスとパブリックアクセス

根岸正光(国立情報学研究所名誉教授)

 学会誌のオープン・アクセス(OA)あるいはパブリック・アクセスについて、歴史的経緯から現況に至るまで、学術コミュニケーション、学会経営、情報技術等も含めた全般的解説を試みた。OAでは、雑誌全体を開放する「ゴールドOA」と、論文個別に著者が機関リポジトリで公開する「グリーンOA」の両方式をセットで考える必要がある。2012年はOAの推進を唱道したブダペスト宣言から10周年で、新宣言が出された。筆者も国立情報学研究所のSPARC Japan事業を通じて長らくOA推進に関与してきた。学会誌のOA化に向けては、研究者の内発的な動機付けは強くなく、むしろ外圧的要素が大きいともみられる。
 今般、文科省科研費に学会誌OA化支援のための種目が導入されたことは、現下の潮流を象徴するものである。一方、電子書籍の急速な進展が巷間話題になっているが、学会誌のOA化はこれとは技術的に異なる面がある点に注意を要する。ともあれ、米国NIHのPublic Access Policyの進展もあり、わが国の医学系学会誌でも、当面少なくとも「グリーンOA」対応とすることが肝要である。なお現状でも海外有力誌はゴールドOAではないことを付言しておく。

新しいウィンドウが開きますスライド資料(1.41MB)