日本医学雑誌編集者会議 Japanese Association of Medical Journal Editors

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議事要旨

第7回日本医学雑誌編集者会議(JAMJE)総会・第7回シンポジウム:シンポジウム

不正論文の元凶:ピペドとIF

榎木 英介(近畿大学医学部病理学教室講師)

 医学生物学の論文は7割が再現できないと言われるなど、生命科学系の研究不正は以前から大きな問題となってきた。こうした背景には、この分野の研究ポスト、研究費の獲得競争が激化しており、研究者は一つでも良い研究業績を出さなければならないという強いプレッシャーを受けているという現状がある。
 論文雑誌の指標に過ぎないインパクト・ファクター(IF)が研究者個人の研究活動の優劣を測る指標になっているため、データ捏造をしてまで良いIFを持つ雑誌に論文を掲載したい研究者が現れている。また、学位や就職の斡旋などをたてに、主任研究者(PI)から研究成果を出すことを強く要求され、奴隷のように長時間労働を強いられる若手研究者もいる。彼らはピペドと呼ばれ、研究不正に手を染める者もいる。IFに代わり個人の研究成果を測れる新たな指標の導入と、ピペドのような働き方を改める施策を推進しない限り、研究不正はなくならないだろう。

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