日本医学雑誌編集者会議 Japanese Association of Medical Journal Editors

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議事要旨

第8回日本医学雑誌編集者会議(JAMJE)総会・第8回シンポジウム:総会

日本医学会連合研究倫理委員会より
―「提言」、そして教材を通じた支援―

市川家國(日本医学会連合研究倫理委員会委員長)

 論文撤回の高い頻度から、わが国は研究不正多発国と見る向きがある。New England Journal Medicineを例として、論文撤回の理由はねつ造、改ざんを常とし、それに少しばかりの盗用があるが、わが国の研究倫理審査委員会の主な審査内容である個人情報・インフォームドコンセントというものは無い。
 国際誌が求める規範は過去数年の間に目覚ましく刷新されており、政府ガイドラインと現行の国際規範との間には時間差が生じている。
 現在の欧米では研究結果の科学性と透明性の向上に焦点が置かれている点が目に付く。その背景には、治験前動物実験の人為的原因による再現性の驚くほどの低さがある。
 このような状況を是正すべく、近年、国際誌では殊に研究の再現性の改善を目指した投稿者への注文が増えている。すなわち、バイアスを回避するために、データの採取に先立ってサンプル数や統計方法、さらにはデータの取捨選択方法を予め決めておくといったことが、国際舞台での研究者の当然の規範としてルール化されてきている。今後のわが国から発表される医系論文がこうした規範を尺度として、国際誌上で審判を受け得ることになることを視野に、日本医学会並びに日本医学会連合はAMED支援のもと、会員を支援すべく学協間で互換性のある教材の作りを目指すことにした。