第11回日本医学雑誌編集者会議（JAMJE）総会・第11回シンポジウム：シンポジウム
医学分野におけるプレプリントの位置づけ：その可能性と注意点
林 和弘（文部科学省科学技術・学術政策研究所データ解析政策研究室長）
プレプリントは査読付き原著論文の草稿であるが、研究成果公開メディアとして一定の独立した地位を医学系でも確立しつつある。特にホットトピックの共有に関しては、事実上不可欠な存在となり、原著論文とは違うメディアとしての役割を持ち始めている。プレプリントの利活用の是非は利用者の立場によって変わり、研究者の情報収集と発信においては自身の専門性のもと積極的かつ戦略的にプレプリントを活用することになる。
そして、非専門の読者としてはリスクを踏まえて慎重に取り扱うべきものである。この点において、研究者コミュニティ（学会）としての見識、啓発が求められる。プレプリントの進展は、学術雑誌と原著論文を中心とした研究者のエコシステムのあり方に一石を投じており、短期的には査読、雑誌のあり方を問い直し、長期的には研究、知識形成の再構築を促すことになる。
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