日本医学雑誌編集者会議 Japanese Association of Medical Journal Editors

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議事要旨

第11回日本医学雑誌編集者会議(JAMJE)総会・第11回シンポジウム:シンポジウム

サラミ論文の基準について

加藤元博(東京大学大学院医学系研究科小児医学講座小児科学分野教授)

 論文数を増やすことを目的に、ひとつにまとめるべき研究を複数に分割して発表することを「サラミ論文」と呼び、研究倫理に反する行為とされている。しかし、ひとつの研究の中でも異なる視点や解析法によって複数の成果が創出されるものはあり、どのような分割をサラミ論文とするかの明確な基準はない。科学的な妥当性に基づき分割したほうが理解しやすい(=読者・社会のために分割する)か、妥当性がないにもかかわらず分割する(=論文の筆者のために分割する)かがその目安となる。
 また、研究の全体像を客観的に把握できるような透明性も重要である。サラミ論文として薄切りすることで、論文の数は増えても学術的意義の総計は小さくなる。本質的な対策としては、単なる「論文数」が研究者の評価指標がではないことを相互に認識し、「科学の進歩を社会に共有し、さらなる発展に貢献する」という学術論文の本来の意義をあらためて確認することが必要である。

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