第13回日本医学雑誌編集者会議(JAMJE)総会・第13回シンポジウム:シンポジウム
生成AIを活用した論文の査読のあり方
山本 憲(順天堂大学健康データサイエンス学部教授)
生成AIを活用した医学論文査読の可能性と課題が議論された。AIツール・生成AIは要約生成、剽窃検出、統計的チェックなどを通じて査読の効率化や品質向上を可能にし、査読者の負担軽減が期待されている。特に、査読専用AIはRAG(Retrieval-Augmented Generation)法を用いて学術論文データを学習させることで、人間の査読者が作成する査読コメントの品質向上やバイアス低減および効率的査読に貢献する可能性がある。AIツールは適切な査読者の推薦、初期スクリーニング、論文構造の確認、画像改ざんの検出などを実現する可能性がある。
一方で、AI活用には情報漏洩リスク、バイアス、虚偽情報生成(ハルシネーション)といった課題が伴う。論文不正防止には、AIツールと人間の専門家の協働が不可欠である。学術論文査読へのAI導入には倫理的ガイドラインの整備と透明性の確保が求められる。AIと人間の協働による信頼性の高い査読プロセスの実現が重要である。
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