日本医学雑誌編集者会議 Japanese Association of Medical Journal Editors

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議事要旨

第1回日本医学雑誌編集者会議(JAMJE)ならびにシンポジウム:シンポジウム

総合討論Q&A

 総合討論の質問、応答は下記のとおり。

日本疫学会:臨床試験の事前登録について、創薬とか薬剤の開発に関する臨床試験に関しては事前登録すべきだと思うが、疫学領域だと、介入の内容が幅広く、教育とか指導でランダマイズして割り付けて臨床研究を行うが、そうした事前登録もUMINでは受け付けてくれるのか。

組織委員会:UMINではそうした事前登録も受け付ける。事前登録しておいた方が安全である。「臨床研究に関する倫理指針」新しいウィンドウが開きますhttp://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/rinsyo/dl/shishin.pdfがインターネットで閲覧できるが、登録しなければならない臨床試験が具体的に記述されている。実際に外国の雑誌に出した時にどのように扱われるかは個々の雑誌の判断となる。

日本疫学会:「臨床研究に関する倫理指針」でカバーされる介入研究以外に、「疫学研究倫理指針」でカバーされる介入研究は事前登録に関して何の記述もないが、現在の対応策では無理があるのではないか。

組織委員会:通常、臨床研究は医療機関で行うものを想定している。介入が少し体に侵襲のあるようなものであれば登録扱いになるかもしれない。具体的な判断は倫理指針の解釈と雑誌の個別の判断による。

日本高血圧学会:デザイン論文は今後どうなるのか、そのポリシーをどのように考えていけばよいのか。

組織委員会:デザイン論文は確立すべきだ。研究デザインとして投稿して、審査、評価する。デザインがよいことが研究にとっては最も大切なことであり、きちんと結果を評価する枠組みを作った方が、結果そのものよりむしろ価値が高い。

日本老年医学会:J-STAGEとの関係はどうなっているのか。J-STAGEに搭載されると、MEDLINEに自動的にcross referenceが利いて、別に直接投書しなくても全部MEDLINEで検索できるようになると理解している。J-STAGEを使わないで外国の雑誌社にアプローチしているところが多いのでもっと宣伝してはどうか。

組織委員会:J-STAGEには現在約500学会が参加している。リンクセンター機能を使って、PubMedや他のデータベースサイトとリンクを張っている。J-STAGEから学会の出版社や商業サイトに出て行く学会もある。理由はさまざまであるが、J-STAGEに不満の学会もあれば、よりブランド名を指向して出て行く学会もある。J-STAGEは最近申請数も増えているので、決して減っているわけではない。搭載して公開するだけではなく、Impact Factorを高めていくとか、PubMedに収載されるように支援していくとか、公開後の事業改善を考える「科学技術論文発信・流通促進事業アドバイザー委員会」を平成19年に設置したところである。

日本血液学会:出版バイアスの解説があったが、査読する立場からすると、不採択は有意差がなかったからというより、臨床試験に倫理的問題があるとか、デザインや解釈に問題があるといった臨床試験自体の問題で採択することが多い。不適切な臨床試験が登録され、一般国民がこれを目にすると、不適切なデータが日本の社会に一人歩きしないかという心配がある。登録する際にフィルターをかけて、きちんとした臨床試験かどうかを検証する必要があるのではないか。

組織委員会:臨床試験を行うのはあくまで研究者であり、われわれが臨床試験を行うわけではない。臨床試験登録をした主任研究者名、研究グループ名で公表されるので、われわれは研究の内容に立ち入り、コメントをする立場ではないと考えている。ただし全員で見られるので、第三者機関がこのような研究は良くないと公表することは可能である。細かいチェックは治験審査委員会(IRB)等で行うべきだ。

日本腎臓学会:査読者に日本医学会全体としてインセンティブを与えることができないか。症例報告について、個人情報の管理はどこまでしないといけないのか。サマリーを日本語で載せていて、それを英文誌に二重投稿のような形で投稿してくることの可否についてはどう考えるか。

組織委員会:3つの指摘事項は日本医学雑誌編集者会議の今後の研究課題である。ガイドラインや制度を作ることができると思うし、本会議で決定したことは一定の権威を国内で持つ。日本語と英語の問題は広い意味での二重投稿になると思うが、APAMEの設立会議の際に韓国における二重投稿の調査をしたところ、領域によって一番多いのが看護系の雑誌であった。読者が二重投稿とは違うと考えており、投稿者も非道義的だと意識せず、多くの読者に読んでもらいたい善意で行っていることである。将来のテーマの一つになると思うが、日本でもどのくらいの二重投稿があるかを調査してみてはどうか。この会議を日本医学会のホームページにサイトしたい。本日のパワーポイントもできる範囲内で掲載していくので、各学会において若手の教育に活用いただきたい。また、米国科学アカデミー編の「科学者をめざす君たちへ」は研究者倫理が書かれた本であるが、場合によっては、こうした書籍を本会議でも出版していきたい。

まとめ:北村聖日本医学雑誌編集者組織委員会委員長
日本医学雑誌編集者会議の設立を認めていただいたということでよろしいか。(拍手)以後活動を継続していきたい。

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