日本医学雑誌編集者会議 Japanese Association of Medical Journal Editors

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宣言

西太平洋地域における医学情報への公平なアクセスに関するシンガポール宣言

日本医学雑誌編集者会議-Japanese Association of Medical Journal Editors (JAMJE)-の目的は,1)医学雑誌と編集者の自由と権利の擁護,2)医学雑誌の質の向上への寄与,3)著者と医学雑誌・編集者の倫理規範の策定,4)海外の編集者会議との連携等がある.この中で,2009年シンガポールで開催された「アジア太平洋医学雑誌編集者会議」(APAME)とWHO西太平洋地域版IndexMedicus(WPRIM)の合同会議において,すべての人が等しく医学情報を共有できることを目的とした,[シンガポール宣言]が採択された.国際的な宣言文の書き方に則って書かれており読みにくい面もあるが,できるだけ平易な日本語に翻訳した.ぜひ日本の学術雑誌にも掲載していただき,全ての人が公平に質のよい医療情報を手に入れることができるように努力を続けたい.

西太平洋地域における医学情報への公平なアクセスに関するシンガポール宣言

2009年11月4日-5日にシンガポールで開催された、アジア太平洋医学雑誌編集者会議(APAME)とWHO西太平洋地域版Index Medicus(WPRIM)との合同会議の参加者である我々は、

以下を考慮しつつ:

  • 医療政策立案者、医療提供者、医学研究者が、効率的で効果的な医療制度とサービスを開発、改善、実施するには、質の高い科学的・技術的医学情報が不可欠であること。
  • 質の高い医学情報への不公平なアクセスは、不十分な医療計画や医療提供につながり、人々の健康状態に悪影響を及ぼしかねないこと。
  • この不公平を克服するには、医学情報の生産と利用の両方に対する万人にとって公平なアクセスを促進するための公民協力(public-private partnership: PPP)が必要であること。
  • 西太平洋地域版Index Medicus(WPRIM)、Global Health Library(GHL)、アジア太平洋医学雑誌編集者会議(APAME)は、重要な協働イニシアチブであり、西太平洋地域における質の高い医学情報のグローバルなアクセスと普及を実現するためには、不可欠な手段であること。

以下を確認し:

  • WPRIMとGHLを通じて、質の高い医学情報の自由で全世界的な普及とアクセスを実現させることが我々の責任であること。
  • 質の高い科学・技術出版物が発行されるように、さらなるネットワークの構築、会議の実施、イベントの開催によって編集者、査読者、著者への教育と能力強化を図るというAPAMEの目標と目的を追求することが我々の責任であること。

以下を呼び掛け:

  • 西太平洋地域の加盟国に対し、民間部門の利害関係者と協力して、質の高い医学情報への自由で公平なアクセスを支援する政策を策定・実施すること。
  • 公共・民間部門と国家・国際組織の利害関係者に対し、西太平洋地域で行われた医学研究への自由でグローバルなアクセスを確保するためにWPRIMとGHLを支援すること。
  • 政府、民間部門、その他編集者協会に対し、アジア太平洋地域で発表される学術論文と出版物の質向上を目的としたAPAMEの様々な活動、指針、実践を支援すること。

以下を決意する:

  • 編集者、編集スタッフ、司書らが相互のバランスを保ち、様々なアイデアに取り組み、互いに支え合うことができる関係を促進しながら、APAMEを通じてWPRIMとGHLイニシアチブの追求に精励すること。
  • 我々APAMEは、国際的に受け入れ可能で、地域的にも現実的な学術的基準の確立と維持を目指し、さらなるネットワークの構築、会議の実施、イベントの開催を通じて編集者、査読者および著者への教育と能力強化を図ること。

2009年11月6日,シンガポール

www.wpro.who.int/apame
apame@wpro.who.int

(本宣言は、2009年11月6日に行われたSingapore Medical Journal第50回会議と併せて開催された学術・医学出版に関する国際フォーラムの場で発表された。原文は以下から見ることができる。
http://www.wpro.who.int/entity/apame/publications/en/