お知らせ

平成17年6月30日

各位

日本医学会
会長 高久 史麿

「がん治療専門医」をめぐっての提言について

 日本医学会は、昨今、「がん治療専門医」をめぐって社会的問題になっていることについて、自主的に問題解決ができるように、今年度、がん治療専門医制検討委員会を設置し、関係学会の事情をお聞きしたうえで、意見交換をいたしました。
 その結果、下記のとおり「がん治療専門医」をめぐっての提言をまとめ、関係諸機関にお送り申し上げました。関係する学会の方々が、この提言にご賛同下さり、がん患者によりよい治療を供する体制を構築されることを期待しています。何卒、趣旨ご賢察の上、ご協力・ご高配の程をお願い申し上げます。


平成17年6月30日

「がん治療専門医」をめぐっての提言

日本医学会会長
がん治療専門医制検討委員会委員長
高久 史麿

 現在、がん治療専門医の問題をめぐって、日本臨床腫瘍学会と日本癌治療学会との間の意見の対立が社会的な問題になっており、この問題はマスメディアでも大きく取り上げられた。「がん」は、わが国の死因の最大の原因であり、当然のことながらがん治療専門医に関する国民の関心も高い。日本学術会議 癌・老化研究連絡委員会専門委員会の鶴尾隆委員長から、日本医学会が中心となって「がん治療認定医制機構」のような第3者機関をつくり、この機関ががん治療専門医の認定を行うことを検討するよう依頼を受けた。しかし現在、日本医師会学術推進会議(議長:高久史麿日本医学会会長)で専門医制度に関する検討を行っており、その中にがん治療専門医の問題も含まれていることから、日本医学会として、当面「がん治療専門医制検討委員会」を新たに医学会内に設け、この問題を検討することとした。なお、検討委員会は下記の委員によって構成され、日本医学会副会長(3人制)も随時この委員会に参加することとした。

がん治療専門医制検討委員会委員(五十音順、◎委員長)
 池田 康夫 慶應義塾大学医学部教授・内科学
 出月 康夫 南千住病院名誉院長/日本医学会副会長・外科学
高久 史麿 自治医科大学学長/日本医学会会長・内科学
 橋本 信也 日本医師会常任理事・内科学
 藤原 研司 独立行政法人労働者健康福祉機構 横浜労災病院長・内科学
 門田 守人 大阪大学大学院医学系研究科教授・臓器制御医学専攻/病態制御外科学

 日本医学会がん治療専門医制検討委員会は、平成17年5月16日、5月30日、6月17日の計3回開催された。第1回の会合では、がん治療専門医をめぐる現状の解析と本委員会の今後の運営方針について協議した。第2回目の会合では日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会からそれぞれの学会におけるがん治療専門医認定に関する現状を聞き、質疑応答の後、各委員間で意見の交換を行った。なお、第2回委員会での2学会の出席者は、以下のごとくである。

日本癌治療学会
 高後  裕 日本癌治療学会がん治療専門医制度関連学会連絡委員会委員長
 西山 正彦 日本癌治療学会がん治療専門医制度関連学会連絡委員会副委員長
日本臨床腫瘍学会
 西條 長宏 日本臨床腫瘍学会理事長
 福岡 正博 日本臨床腫瘍学会理事/専門医制度委員長
 大江裕一郎 日本臨床腫瘍学会理事

 第3回目の会合では、山田章吾日本医学放射線学会理事から放射線専門医制度ならびに日本放射線腫瘍学会認定医制度に関する説明を受けた。引き続き、日本乳癌学会から同学会が認定している乳腺専門医制についての説明を、平田公一日本乳癌学会専門医制度委員会委員長、園尾博司日本乳癌学会専門医制度委員会副委員長から受けた。その後、委員間でがん治療専門医制に関して意見を交換し、以下のような検討委員会の報告書を作成した。

 がん治療専門医に関連する諸学会が独自にがん専門医を認定することによって、がん患者やその関係者が混乱するような状況をさけるため、以下のことを提案したい。

  1. がんに関する基盤的な幅広い事項、すなわちがんの細胞生物学、病理・病態、診断、治療(緩和医療)、予防に関する知識・技術を取得していることを認めるがん治療認定医制を設ける。
  2. がん治療認定医制に関する共通カリキュラムの作成を(1)日本癌学会、(2)日本癌治療学会、(3)日本臨床腫瘍学会の3学会が中心となって作成(必要に応じて他学会も参加)し、その認定も3学会共通で行う。なお共通カリキュラムの内容、認定方法に関して3学会間で、今後合同の委員会などを設けて具体的な方策を協議する。これらの事項に関する庶務的業務を日本癌治療学会が取り扱う。
  3. がん治療認定医の上に、がん薬物療法専門医(日本臨床腫瘍学会)、(がん)放射線治療専門医(日本医学放射線学会)、その他がん治療に関する専門医(その他のがん治療関連学会)をおき、がん治療に関して認定医と専門医の2階段制とする。
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