お知らせ

福島県立大野病院事件の判決に関する日本医学会の声明

平成20年8月26日
日 本 医 学 会
会長 タカ 久 史 麿

 本件は、帝王切開手術時の癒着胎盤という重篤なかつ稀な事態に伴う産婦の出血死により、執刀医が業務上過失致死罪と医師法第21条に規定されている異状死の届出義務違反によって平成18年2月、逮捕、拘留、その後起訴されたものである。

 まず、亡くなられた患者ご本人に対して、改めてご冥福をお祈り申し上げ、ご遺族の方々には哀心から哀悼の意を表すものである。

 本件の産婦の出血死は医師法第21条に規定している異状死に該当するものではないことは明らかである。また、被告となった執刀医が行った医療行為は、産科的に見て極めて標準的な治療であり、日本医学会はかねてから今回の逮捕、起訴は不当な刑事司法行為であると、表明してきた。したがって、今回の福島地裁の無罪判決は極めて妥当な結果であると考え、同時にこの判決が判例となること、今後検察が控訴しないことを強く要望するものである。

 日本医学会に加盟する主要な19学会は、平成16年9月に『診療行為に関連した患者死亡の届出について~中立的専門機関の創設に向けて~』の声明の中で、医療行為の過程で予期しない患者死亡が発生した場合、所属の警察署に届け出るという現行の制度を変更し、かつ異状死に関する適切な医療評価が行われるような新制度の確立を要望している。日本医学会もこの提案を支持してきた。

 さらに、平成20年6月、日本医学会は厚生労働省が現在提案している死因究明制度、すなわち医療安全調査委員会設置法の制定に基本的に賛成であり、この設置法に基づいて中立的な第三者機関が設置された時には協力を惜しまないことを表明している。

 日本医学会は今回のこの判決を契機として改めて第三者機関の設立を要望すると共に、医療の管理を今までのような刑事司法が行なうのではなく、専門家集団である医師自らが自律的に行なう仕組みの構築を目指していく所存である。

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