動物愛護管理のあり方検討小委員会の最終報告に対する意見
平成24年1月27日
平成23年12月に中央環境審議会動物愛護部会動物愛護管理のあり方検討小委員会は「動物愛護管理のあり方検討報告書」を取りまとめ、これを受けて環境省動物愛護管理室はパブリックコメントを募集し、その結果を踏まえて最終報告書を公表しました。報告書の第7に、実験動物の取扱いに関する見解が収載されています。その要点は以下の通りです。
- 現在の仕組みの充実とある程度時間をかけた検証が重要
- 施設の把握、事故・災害時の実態把握のために、関係団体の連携強化や届出制等を検討
- 自治体の職員には実態把握と実効性の確保が困難
- 産業動物と同様にペットとは飼養管理方法が異なる。業界団体は実態を把握しているので実験動物生産業者を動物取扱業の登録対象に含めるべきでない
- 動物種によっては実験動物と家庭動物等の両方で扱われるので、動物取扱業の登録対象とすべき
- 3Rのうちの代替法利用と使用数削減も義務規定とすべき
ここでは、実験動物の取扱いは現行のままとすべき、すなわち届出制は導入すべきでないとする意見と、実験動物に対する法規制を強化すべきであるとする意見が両論併記されていますが、このことを日本医学会は大変遺憾に思います。
われわれ日本医学会は、関係各省の動物実験基本指針に則った研究機関等による動物実験の自主管理が順調に定着・普及していることから、現行を継続し、しかるべきときに自主管理に対する評価を行った後、実験動物に対する法規制強化の必要性を検討すべきであると考えます。この過程を経ずいたずらに法規制を強化すれば、生命科学研究に空洞化を招くおそれがあります。動物実験・実験動物関係団体の連携強化と継続的な検証の実施により、実験動物の愛護・福祉に配慮した生命科学研究と医療がますます発展することを確信しております。