日本医学雑誌編集者会議 Japanese Association of Medical Journal Editors

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宣言

アジア太平洋地域の科学および医学分野における研究の健全性と倫理的な論文執筆・出版に関する東京宣言

背景

日本医学雑誌編集者組織委員会訳

2013年8月4日

 2013年、年間売上が1,000億円を超えるノバルティス社の降圧剤バルサルタンの臨床試験データにおける重篤な問題が発覚し、複数の論文が改ざんを理由に取り下げられた。データに関わったとされる元社員は大学などでの立場を利用し、会社との関係を明らかにしないまま論文著者に入っていた。この不祥事は日本において科学界の信頼を損なっている。その一方で研究者は、悪徳(predatory)な出版ビジネスから論文や学術書を出版するよう頻繁に勧誘されている。研究不正の増加および十分な検証を経ない出版物の急増は、学術情報の質を低下させてしまう。

 アジア太平洋医学雑誌編集者会議 (APAME)の参加者は二つの宣言文を 2009年シンガポール、2012年クアラルンプールにおいて採択してきた。今回の会議は南東アジア地域版Index Medicus (IMSEAR)、 西太平洋地域版Index Medicus (WPRIM)、との合同で2013年8月に東京で開催された。ここで我々は公正かつ倫理的な論文執筆・出版に関する東京宣言を採択した。この宣言文を研究者、編集者、司書の間で普及させ確認することで、研究の質を保つことが重要である。

過去の宣言文

The 2009 Singapore Declaration on Equitable Access to Health Information in the Western Pacific Region
The 2012 Kuala Lumpur Declaration on Promotion of Scholarly Writing Skills and Standards in the Asia Pacific Region
http://www.wpro.who.int/entity/apame/publications/en/
https://jams.med.or.jp/jamje/
IMSEARとWPRIMにインデックスされた雑誌は、特別声明として以下の文章を付して本決議を掲載することが望まれる。
「本決議は、2013年8月2-4日に東京で開催された、アジア太平洋医学雑誌編集者会議 2013年会 (APAME 2013 Tokyo)で採択された。APAMEにリンクされた雑誌、またIMSEARとWPRIMにインデックスされた雑誌に同時期に掲載される。 Copyright © APAME. www.wpro.who.int/apame apame@wpro.who.int

決議の背景に関するこの文書は、本決議を説明する論説(Editorial)などに用いることができる。その論説のタイトルは、文献データベースにおける索引付けに問題を起こさないようにするため、東京宣言のタイトルと異なるものとすべきである。
訳にあたって協力を得た東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻有田正規氏に謝意を表する。