研究倫理教育研修会

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議事要旨

第8回研究倫理教育研修会

医学論文とAI

林 和弘(日本医学雑誌編集者組織委員会委員/文部科学省科学技術・学術政策研究所データ解析政策研究室長)

 論文執筆、雑誌編集、出版にAIはさまざまに活用され、生成AIの出現によってその関与の仕方が飛躍的にレベルアップした。生成AIは査読機能をある程度代替しはじめるだけでなく、論文の査読に限らず、良い/あやしい論文、著者、研究機関、研究活動が、AIによるネットワーク分析で浮き彫りになりつつある。さらに、研究活動自身の変革にAIがすでに様々に関与している。
 このような動きは雑誌のあり方すら変えつつあり、例えば、プレプリントにAI査読による迅速な情報流通の可能性や、AIロボット駆動科学の進展によって論文の代わりにコードと研究データを共有するコミュニティも模索され始めているなど、研究成果メディア自身が変容し始め、査読のあり方を問い直している。この動きを踏まえて、研究倫理のあり方がAIの存在を前提に問い直される時代になりつつあり、まずは関係者による対話の積み重ねとその延長線上にあるガイドラインの作成が求められる。

スライド資料(PDF/1.55MB)