土岐祐一郎(日本医学会連合・日本医学会利益相反委員会委員長)
日本医学会利益相反委員会は2010年に発足し、利益相反管理指針の策定(2011年)、高血圧薬事案の対応(2013年~)、CPG策定参加資格ガイダンス(2017年)など、大きな社会的な役割を果たしてきた。利益相反という概念は社会に定着したが、例えば製薬協の透明性ガイドラインを見るとこの10年間で医師との共同研究費は大きく減少し、講演料や原稿料は増加傾向にある。利益相反管理の目的は利益相反を消失させることではなく、産学連携を発展させることであるという初心に立ち戻る時期にあると思う。
一方、組織COIは医学会利益相反委員会では個人COIに遅れて2020年の改訂でその管理指針を示した。特に分科会には自身の組織COIを開示することを求めているが、まだ十分に浸透しているとは言えない。近年、従来の共催セミナーや賛助会員などに加えて、教育助成、顕彰のスポンサーなど様々な形での企業から資金提供が増えている。それ自体は喜ばしいことであるが、並行して組織COIの開示が求められていることを理解いただきたい。
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