児玉安司(新星総合法律事務所)
医療機器に搭載するSaMDと比較すると、医療生成AIの安全性と有効性を的確に制御するためには、より複雑かつ広汎な問題群(Ethical, Legal, Social issues)を検討する必要がある。
著作権法においては30条の4の「非享受目的」として機械学習が合法とされているが、既存の出版・メディア市場への影響について配慮する必要がある。個人情報保護法の令和3年改正で、学術研究が同意原則の例外となり、委託や共同利用等も併せた幅広い活用が提案されている。日本において適法に医療生成AI研究が行える法的根拠はあるが、法令・倫理指針等がリスク・ベースドになっていないことに課題がある。薬機法に関連しては、Total Product Life Cycle Approachを強化するアメリカのFDAの動きが注目される。EUでは、GDPRのpublic health関する諸規定、2024年のAI Act59条の「規制のサンドボックス」など、医療情報を公共の利益のために個別同意を越えて利活用する規定整備が進んでいる。
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