「日本医学会 医学研究のCOIマネージメントに関するガイドライン」Q&A
(平成23年8月 現在)
日本医学会臨床部会利益相反委員会
↓3. COI申告とその申告書提出に関する質問
↓3-1. 会員の講演発表、雑誌発表などにおけるCOI申告について
↓3-2. 役員等のCOI申告書について
3. COI申告とその申告書提出に関する質問
- Q
- COI自己申告書を開示することにより、どのようなメリットがあるのですか?
- A
- 企業などからの金銭授受にかかるCOI問題は、マスコミからの指摘や所属研究組織内部からの告発による場合が多いのが現状です。COI申告書の記載に虚偽がなければ、分科会は会員を誹謗中傷から守ることができます。しかし、学会発表や機関誌へ発表において、COI自己申告書の開示内容に意図的な虚偽の記載が明らかになれば、会員を守ることはできず、むしろ、違反者として措置を行うことになります。
- Q
- COI自己申告書を提出する意味が理解できません。研究者の収入を開示するのは、個人情報保護法に違反するのではないでしょうか?
- A
- 医学研究者や医師の使命は、医学研究によって難病とされる疾患の診断、治療、予防法などを開発し、できるだけ早く患者さんの所に届けることですが、医学研究には企業との産学連携活動が欠かせません。当然、医学研究が活発な研究者(医師)には公的に私的にも研究費や講演料、株式収入などが入ってきます。そのような利害が増えると、また、その額があるレベルを超えると社会からの疑義や不信が発せられやすくなります。そのためには組織として、各研究者のCOI状態を適切に把握して、透明性に努め、深刻な状態にならないようにマネージメントすることが求められています。
- Q
- 配偶者や一親等の親族、収入・財産を共有するもののCOI状態まで申告するように定めていますが、これらの人が開示・公開を拒んだら、どうすべきですか?
- A
- 配偶者などのCOI状態が、申告者の学会事業活動に強く影響するのは一般に理解されているところです。論文投稿や分科会役員等の就任時には、COI状態の開示・公開が求められます。ベンチャー企業の立ち上げや運営において配偶者を含めて親族が関わる場合も想定され、配偶者などのCOI状態が深刻な結果、社会的・法的問題が生じた時に、これらを自己申告されていなかった当該申告者を、分科会としては、残念ながら社会の批判から守ることができません。また、分科会は当該申告者を指針違反者として扱い、本指針で定められた措置を取らざるを得ません。以上の点を踏まえて配偶者や一親等の親族に理解を求めて情報提供をお願いすることが大切です。
- Q
- COI自己申告書への記載は、全て記載すべきですか?
- A
- 自己申告書の各項目に沿ってある基準額が設定されていますので、「有る」、「無し」のチェックを全ての項目について行い、「有る」場合には、企業名を記載すべきです。
- Q
- COI自己申告書の各項目ごとの基準額は、どのように決められているのですか?
- A
- 平成18年に出された文科省検討班「臨床研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドライン」と平成20年度の「厚生労働科学研究における利益相反(Conflict of Interest:COI)の管理に関する指針」、並びに諸外国での基準を参考にして項目の設定並びに基準が設定されています。これらの額はあくまで例示であり、各分科会が説明責任を果たせるように基準額を設定することが大切です。
- Q
- 株の保有やその他の報酬は、臨床研究に関連した企業・団体だけを申告するのですか?
- A
- 分科会発表者や論文投稿者については、当該医学研究に関連する企業・団体のものに限定されます。分科会役員などについては、当該分科会が行う事業に関連する企業・団体に限定して自己申告していただくことになります。
- Q
- 私はある生物製剤に関する特許権を1,000万円で製薬会社に譲渡しました。これは特許権使用料には当たらないと解釈して、申告しなくてよいのでしょうか。
- A
- 特許権の譲渡についても申告が必要です。
- Q
- 私は会員ですが、製薬会社の株を30万円相当分を持っています。また、先日、製薬会社の主催するセミナーで講演し、10万円の講演料を得ました。これら全てを自己申告しなければいけませんか?また、収入がある度に自己申告するのですか?
- A
- 具体的な申告の時期、申告方法、基準額は対象活動や対象者により異なり、細則に定めています。会員の申告時期は、学会発表時、論文投稿時に、発表する研究内容に関係する企業・団体とのCOI状態を自己申告することが義務付けられています。一方、役員などの場合には、就任時と、その後1年に1回の自己申告が必要です。株は1年間の利益が100万円以上の場合、講演料は1企業につき年間50万円などの取り決めが各分科会の細則に定められていれば、適用されます。
- Q
- 私は製薬会社と関係しない出版社からの原稿料が50万円を超えますが、会員としての申告が必要でしょうか?
- A
- 原稿料で申告が必要なのは、原稿料の支払元が製薬会社や医療器具メーカーなどである場合です。しかし、原稿料が出版社から支払われたとしても、関係する製薬会社などがスポンサーとして関係している場合には基準額以上であれば申告する必要があります。
- Q
- ある製薬企業から、私の勤める県立病院に奨学寄附金400万円の入金があり、研究担当者名は私になっています。実際には、病院全体の研究費として多くの人が使用しており、物品を購入する場合、病院事務を通して経理がされています。このような奨学寄附金も私のCOI状態として申告すべきでしょうか?
- A
- 奨学寄附金を受け入れた場合、指針・細則の中に1企業から年間200万円以上と基準額が定められていれば、受け入れた研究担当者は申告する必要があります。奨学寄附金の場合には、実際の研究費の使用者が誰であるかに関わらず、研究責任者のCOIとして申告すると良いでしょう。これは、研究責任者のコントロールの割合が強いと一般から見られているためです。ただし、学会発表、論文投稿の研究内容が、奨学寄附金を納入した企業・団体と関係のない場合には開示する必要はありません。一方、分科会役員などは当該分科会が行う事業に関連する企業・団体に関わるもの全てが自己申告の対象となり、COI状態の開示を求められます。
- Q
- 私の所属機関では、企業からの奨学寄附金や治験の入金額の10%が事務経費として差し引かれます。このため、企業から300万円の奨学寄附金をもらっても、研究者には270万円となります。この場合、奨学金の受け入れは、270万円と考えてよろしいでしょうか?
- A
- 申告する奨学金の基準額は所属機関の事務経費を控除した額でなく、企業から入金された全額をもとに記載してください。従って、この例の場合、奨学金額は300万円と判定されます。
- Q
- COI申告書の中で、奨学寄附金(奨励寄附金など)の項目がありますが、教室(医局或いは講座など)の代表リーダー(教授、准教授など)が受けている場合、助教としての私はどう対応すべきでしょうか?
- A
- 10数大学について奨学寄附金の受け入れ方式を調べた結果、(1)講座・分野宛にしている場合と、(2)研究者個人にしている場合、(3)どちらでも可能としている場合がありました。分科会での演題発表については、申告者が所属する研究室単位が同じであるとか、共同研究のために研究費の使途を一にしている場合、COI状態にあるとして基準額を超えていれば、申告してください。役員の場合も同様で、部局内の研究者個人が研究費の提供を受けているが、共同研究を行う立場であれば、申告しておくことが望ましいです。しかし、同じ部局内の研究者が全く独立して研究をしている場合には必要はありません。
- Q
- 寄附講座の多くは企業の寄附資金によって運営されておりますが、寄附講座所属の教員や職員についてはCOI申告をどのように行うのですか?
- A
- 寄附講座はCOIマネージメントにおいて重要である場合があることから、所属する教員などは所定の様式に従い申告する必要があります。
- Q
- 「研究とは直接関係のない、その他の報酬」を申告するように義務付けられていますが、製薬会社が提供するテレビ番組のクイズで海外旅行が当たっても申告するのですか?
- A
- クイズや抽選で当たったものは景品であって報酬ではありません。申告が義務付けられているのは「報酬」であり、「報酬」とはなんらかの労力に対する見返りとして支払われるものです。従って、景品は申告対象ではありません。自己申告に当たる例としては、ある医師が特定の薬をよく処方することから、その薬を販売する企業が謝礼の意味でUSBフラッシュメモリーを医師に渡すことなどが該当します。極端な場合には贈賄行為となり刑事罰の対象となるケースも想定され、本指針で扱うものではありません。
- Q
- 私はある分科会の生涯教育講演会での講演を依頼されました。このような場合もCOI状態を開示しなければならないのでしょうか?
- A
- 分科会の事業活動である生涯教育講演会や『セミナー』などは、多くの場合その分野の専門家が演者となります。従って、これを受講する者への影響は大きいことから、所定の様式に従い、COI状態を発表スライド中に開示することが必要です。
- Q
- 分科会のCOI自己申告書にある基準は、今後変わらないのでしょうか?
- A
- 申告するための項目とか基準額等は、当然、社会的な要因や時代の変化に伴い考え方や社会からの見方も変化していくことが予想され、その時代にあった基準に変更していくことが想定されます。COI指針には、「社会的要因や産学連携に関する法令の改正、整備ならびに医療及び研究をめぐる諸条件に適合させるためには、定期的に見直しを行い、改正することができる」と明記されていることが多いです。
- Q
- 分科会で策定されるCOI指針には、支部のある地方会にも適用されるか?
- A
- 財団法人とか、社団法人として分科会が運営されている場合、各支部の運営も一体となっていることが多く、支部ごとの地方会における発表も本指針と細則が適用されます。
- Q
- ベンチャー企業や複数の大学・研究室或いは、外国の施設や企業などとの共同研究(まだ認可も利益もない状態)による成果を学術雑誌などに発表する場合、COI申告について注意すべき点を教えてください。
- A
- 発表する場合、共同発表者のCOIがあるか否かをあらかじめ確認し、すべての著者のCOI状態について申告する義務と責任が筆頭著者か、corresponding authorにあります。従って、発表に際しては個々の発表者のCOI状態をあらかじめ確認しておくことが大切です。もし、COI申告違反が共同発表者のどなたかに発生した場合、筆頭著者か、corresponding authorが罰則規定に従って措置を受けることになりますので注意してください。
3-1. 会員の講演発表、雑誌発表などにおけるCOI申告について
- Q
- 各分科会で演題発表をしようとすれば、COI状態の報告について具体的に、何をすればいいのでしょうか?
- A
- 分科会での発表については、筆頭発表者の発表演題に関係する企業などとのCOI状態を開示することが必要です。開示は当該発表演題に関連した企業との金銭的なCOI状態に限定されます。分科会によっては、共同演者のCOI状態まで含めて、発表者全員のCOI状態の開示を求めている場合もあります。臨床的に影響力のある医学研究成果については論文として投稿されますので、全共著者のCOI状態の開示を求めているのが一般的です。
- Q
- 何故、ある分科会の発表では、筆頭発表者だけが自己申告書の対象なのですか?
- A
- 分科会によっては、筆頭発表者だけを申告対象としている場合もあります。初めての取り組みの場合、筆頭発表者だけとし、将来的には連名の発表者全員まで拡大することが多いといえます。
- Q
- 営利企業や団体などから示された基準をはるかに超えるCOI状態があった場合、学術講演会の発表はできないのですか?
- A
- 高額の個人収入を得ているからと言って、講演ができないことはありません。発表の時に、適切にCOI状態を自ら開示することによって、その講演内容の評価は聴衆サイドに判断を委ねることが大切なポイントです。当然、当該の講演者は、発表内容の中立性、公明性が求められることとなり、このような対応がCOIマネージメントの基本であると理解してください。
- Q
- 抄録をwebsiteで登録する時に提出するCOI自己申告書はどのように扱われるのですか?
- A
- COI自己申告書は個人情報が多く含まれていますので、学会事務局にて厳重に保管され、情報が関係者以外に漏れることはありません。
- Q
- 学会で演題発表する場合、いつ筆頭発表者のCOI状態を申告するのですか?
- A
- 発表する演題の抄録をwebsiteにて登録する時に、COI自己申告書に必要事項を全て記入して頂かないと演題登録が終了しない仕組みを採用されている場合が多いです。
- Q
- 非会員が本学会の特別講演、シンポジウムなどに招待された場合、本指針は適用されますか?
- A
- 本学会の事業に参加することから、会員の場合と同様に、発表時にCOI状態の開示が求められます。
- Q
- 学術講演会などの昼食時や、夕方に開催される企業主催のランチョンセミナー、イブニングセミナー(シンポジウム)などが開催される場合、発表者には分科会の本COI指針と細則が適用されますか?
- A
- 企業主催のランチョンセミナーやイブニングセミナーなどは学会員を対象に行われることから、発表者はCOI状態についてスライドを用いて開示する義務を負うことになります。
- Q
- 分科会事務局に膨大な量の個人情報が蓄積されることになりますが、それらはいつまで保管されますか?
- A
- 雑誌や学会での発表者のCOI情報は、論文中や発表時にスライドまたはポスターにて開示されることで完結します。「学会発表のための抄録登録時あるいは本学会雑誌への論文投稿時に提出されるCOI自己申告書は提出の日から2年間、理事長の監督下に厳重に保管され、その後は廃棄されることが多いようです。
- Q
- 分科会が発刊する雑誌への投稿論文で明らかにするCOI状態の期間は、いつからいつまでですか?
- A
- 投稿時から遡って一年と規程されている場合、投稿日が7月10日の場合は、前年の7月11日からの1年間に発生した事項について自己申告することになります。論文がreviseとなった場合は、投稿日の前年の7月1日から、最終版の投稿論文を送付した日までに発生した事項について自己申告書を改訂して自己申告する必要があります。
- Q
- 分科会雑誌に投稿するとき、自己申告書には著者だけでよいのですか?
- A
- 投稿論文については共著者を含めた全著者のCOI状態を開示するのが一般的です。その内容は当該論文に関係した企業・団体などとのCOI状態に限定されます。注意すべき事は、筆頭著者(本人)のみならず、本人の配偶者、一親等の親族、または収入・財産を共有する者についても申告しなければならない点です。
- Q
- 分科会が発刊する和文の学会雑誌と英文雑誌とでは、COIに関する自己申告の内容が一部異なっている場合がありますが、どうしてですか?
- A
- 最近、英文雑誌には数多くの論文投稿が海外からなされているが、産学連携の方法は日本と欧米では一部異なっています。特に、企業からの奨学寄附金と寄附講座の提供は制度的に日本独自の方式と考えられることから、英文雑誌の場合にはそれらの項目をCOI申告書から除外されている場合と研究費として一括されて申告される場合があります。
- Q
- 欧米の代表的な雑誌(The New England Journal of Medicine, Lancetなど)では、投稿時に提出するCOI申告書を標準化していますが、日本ではどのように対応していますか?
- A
- The New England Journal of MedicineやLancetなどの編集責任者が集い医学雑誌編集者国際委員会(International Committee of Medical Journal Editors;ICMJE)を設置し、共通のCOI開示様式を提案し試行しております。日本医学会も将来的には国際的な標準化を視野に取り組んでいく予定です。
- Q
- AMA Manual of Style第10版のIntellectual Propertyについての文章では著者が特許権を所有してもよいと思わせることが書いてあります(Cheryl Iverson et al, AMA Manual of Style: A Guide for Authors and Editors 10th Edition. USA: Oxford University Press, 2007: 209-210)。 研究者の所属している組織・施設が個人の特許所有を許可する場合、論文のCOI Disclosureに研究者はどのように記載すればよいでしょうか?
- A
- 論文の中に特許を所有(または共有)しているものを細かく説明すべきです。
3-2. 役員等のCOI申告書について
- Q
- 役員、学術講演会長、各種委員会の全ての委員長、特定の委員、学会従業員などがCOI申告書を提出する場合、対象となる期間はいつからいつまでになるのでしょうか?
- A
- 税務署への自己申告の対象となる期間は、毎年1月1日から12月末となっており、会員自身がデータとして整理していると思われるので、分科会も就任するに際して過去1年から3年までを対象期間としてCOI状態の申告を義務付けている事が多いようです。
- Q
- 役員などで理事長宛にCOI自己申告書を提出した後に既定の基準を超える個人的な収入があった場合、どのように対応すべきでしょうか?
- A
- 既に提出しているCOI自己申告書への追加・修正という形で、COI基準を超えた日から一定期間内(例、8週以内)に報告すべきであると記載する必要があります。あくまで、自己申告制ですので、常日頃から会員自らが各自のCOI状態をチェックし記録しておくことが肝要です。
- Q
- 分科会では、会頭、理事長、理事・監事の就任日、委員長就任日、委員就任日が、それぞれ異なっている事が多いが、同一人物が理事となり、ある委員会の委員長となり、また別の特定委員会委員を兼ねる場合は、3回も自己申告書を提出する必要がありますか?
- A
- 理事、委員長、特定委員会委員などを兼任される場合は、就任が最も早いものについて、就任時に所定の様式に従ったCOI自己申告の提出で良いです。その後、委員長や特定委員会委員になっても、個別に申告する必要はないと考えます。ただし、例えば、理事就任後、ある委員会の委員長に就任する間に、製薬会社から奨学寄附金1,000万円を獲得した場合には、「在任中に新たなCOI状態が発生した場合」として、規定の期間内に報告する義務を負うものと判断されます。新たに発生したCOI状態の分のみ所定の様式を用いて申告させることが必要です。
- Q
- 役員の場合、企業からの金銭授受が基準額以上であれば、COI自己申告書に全て記載すべきですか?
- A
- 全ての企業名を記載する必要があります。
- Q
- 理事、各種委員会委員長、委員などは、COI自己申告書をいつ提出するのでしょうか?
- A
- 就任した時点で自己申告書を提出する義務を負います。申告がない場合には、就任は承認されないとするのが一般的です。対応としては、理事選挙が行われる時、理事の立候補届出をする時点でCOI自己申告書も一緒に提出してもらうと、分科会事務局の対応もしやすくなると思われます。
- Q
- 役員などが自己申告書提出後に、新たに基準額を超えるCOI状態が発生した場合はどのように対応すべきですか?
- A
- 新たに発生した時点から、所定の期間内(例、8週以内)に修正した自己申告書を学会理事長宛に提出することとなります。
- Q
- COI状態の回避について「当該臨床研究を計画・実行する上で必要不可欠の人材であり、かつ当該臨床研究が国際的にも極めて重要な意義をもつような場合には、当該臨床研究の試験責任医師に就任することは可能とする。」という例外規定を設けることは、COI指針の理念を弱めることになりませんか?
- A
- 本指針の目指すところは、研究者にCOI状態の回避を強制することではなく、また、COI状態が強い研究者に対して臨床研究を制限することでもありません。社会にとって有意義で、重要な臨床研究を推進することが大切でありますが、活発に臨床研究を実施する研究者ほど、COI状態が深刻化するのが一般的です。上記のような例外規定を設けることで、有能な研究者が臨床研究に関わる道を開くことが大切と考えており、何らかのマネージメントを行うことにより、透明性、中立性が担保できれば可能であるとの判断です。分科会としても同様な見解と判断を示しておくことは重要です。
- Q
- ある特定の企業A社から、会員が講演料、寄附金などで高額の収入を得ている場合、A社の薬剤の診療ガイドラインを策定する委員会の委員長になることができるのでしょうか?
- A
- 社会的な視点からその収入額が非常に高いと考えられる場合には、責任医師になるべきでなく、分担医師として委員に入ることは可能です。しかし、深刻なCOI状態にあると思われる場合には、深刻な状態を緩和するための措置(ピア・レビューの徹底、分担医師の辞退、報告、監査など)を取ることも一つの解決策になると考えられます。
- Q
- ある保険会社の顧問をしているが、これも自己申告するのでしょうか?
- A
- 分科会の事業活動を担う役員の場合、当該保険会社との間にCOI状態が発生しないと考えられるのであれば、申告の必要はありません。当該の保険会社に関係する事業を扱う委員会委員長に就任する場合にはマネージメントが必要になる可能性があり、そのような場合に自己申告が求められます。
←2. 日本医学会のCOIマネージメントに関するガイドラインに関して
4. COIマネージメント(管理)の意義と実際について→