日本医学会

お知らせ

がん登録の法制化に係る要望書

平成24年3月13日

厚生労働大臣
小宮山洋子 殿

日本医学会長 髙久 史麿
日本癌学会理事長 野田 哲生
日本癌治療学会理事長 西山 正彦
日本臨床腫瘍学会理事長 田村 和夫

がん登録の法制化に係る要望書

 がん登録はがんの罹患率や生存率の算出のための基礎となるデータを得るものであり、がん予防、がん検診、がん医療提供体制の整備など質の高いがん医療を提供するために不可欠なものであります。
 がん登録は、平成19年に策定された「がん対策推進基本計画」の中でも重点課題の一つとして位置付けられ、平成24年3月1日に厚生労働省から提示された次期がん対策推進基本計画(変更案)においても、引き続き重点課題とされています。これまで、都道府県及び医療機関等の努力により地域がん登録や院内がん登録が進められておりますが、まだまだ不十分と言わざるを得ません。例えば、我が国のがん罹患率は15府県の2006年の登録情報を用いて推計しており、更に、5年生存率に至っては、1999-2002年のわずか6府県の集計値を全国値として用いています。罹患率や生存率は各都道府県によって異なるにも関わらず、不確かかつ古いデータを用いて国も都道府県もがん対策を行っているのが実情であります。一方、海外の多くの国ではがん登録を国の事業として位置付け、法整備を行い、正確なデータを集めています。我が国では、がんが死亡原因の第1位であるにも関わらず、未だ患者の数も正確に把握できておらず、貴重ながん患者の情報を将来のがん対策へ活かせておりません。
 こうした状況を打開するためには、がん登録を国の事業として位置付け、がん登録率100%を目指すことが必要と考えます。そこで、今後がん登録の精度を高め、より信頼できるデータが得られるよう、国ががん登録に関する法整備を行うことを要望いたします。